Kotlin in Action Second Edition 第2章

はじめに

この記事ではKotlin in Action Second Editionの第2章を読んだことをまとめた振り返り記事です。 途中のコードスニペットは、多くはKotlin in Actionにあるものですが、一部は編集しています。編集したコードはKotlin Notebookで実際に動かしたもので、1のリポジトリで確認することができます。

2章 Kotlin basics

Idiomatic Kotlin

  • Kotlinのコードについて議論されるときによく使われるフレーズ
  • シンプルに言えば、適切なタイミングで言語特性とシンタックスシュガーを活用して、どのように「Kotlinのネイティブスピーカー」らしくコードを書くかということ
  • idiomaticに書くためにはそれ相応の時間と鍛錬が必要になる

関数と変数

Hello world

fun main() {
    println("Hello, World!")
}

注意すべきは、

  • funは関数を宣言するキーワード
  • mainはエントリーポイントで引数は省略可能
  • printlnは標準ライブラリでJavaよりもシンプル
  • 文末にセミコロンは必要ない(これもJavaやC/C++ではセミコロン必要)。

です。 Javaだと

class Hello {
    public static void main(String[] args) {
        System.out.println("Hello, World!");
    }
}

のようになるでしょう。

パラメーターと返り値を持つ関数を宣言する

fun max(a: Int, b: Int): Int {
    return if (a > b) a else b
}

fun main() {
    println(max(1, 2))
}

funで関数の宣言を開始し、その後すぐに関数名がきます。今回は2つの数字を受け取り、大きい方の値を返す関数です。C言語のようにパラメーターの後にコロン(:)で型Int(整数)を指定しています。さらにその右には返り値の型Intを指定しています。returnキーワードで返り値を返すことができます。 if式は三項演算子 (ternary operator) のように使えます(後の章にて解説)。

これをCで書くとおそらく次のようになるでしょう:

int max(int a, int b) {
    return a > b ? a : b;
}

欧文は文章を左から読む特性上、max:(a,b)c{\rm max}: (a, b) \to cという論理がすっと入ってきますが、C言語の場合には、返ってくる型を覚えておいて読む必要があります。これはc=max(a,b)c = {\rm max}(a, b)のように書くと2つの違いのイメージがつくかと思います。

main関数のパラメーターと返り値の型

すでに言ったように、Kotlinではmain関数がエントリーポイントになるわけですが、パラメーターを宣言しなくてもいいし、宣言する時はargs: Array<String>としてストリングの型を宣言してもいいです。コマンドラインのパラメーターを受け取るときに使うので、後の章でまた解説されます。

もう少し簡単に関数定義

先のmax関数はもう少し簡単にできます。この簡単にできる条件は

 関数のボディがワンライナーの単一の表現(e.g., if (a > b) a else b)なとき

です。このときは中括弧({})を省略できます。つまり、

fun max(a: Int, b: Int): Int = if (a > b) a else b
fun main() {
    println(max(1, 2))
}

と書けます。

ここで、中括弧の中に関数のボディがあることを「関数はblock bodyを持つ」といい、逆に中括弧がなく直接式を返すことを「関数はexpression bodyを持つ」といいます。さらに、返り値が型推論 (type inference) で明らかになる場合、上記の関数はもっと簡単になり

fun max(a: Int, b: Int) = if (a > b) a else b
fun main() {
    println(max(1, 2))
}

と書けます。

注意:ライブラリを書くときには返り値の型を明示的に書くこと。偶然な変化でライブラリの利用者にエラーがでることを避けたいので。

データを保持するための変数宣言

Kotlinの型推論が強力なおかげで多くの変数に対して型の指定を省略できるし、明示的に指定することもできます。

fun main() {
    // 明示的に型を指定
    // val question: String = "The Ultimatee Question of Life, the Universe, and Everything"
    // val answer: Int = 42

    // 型推論
    val question = "The Ultimatee Question of Life, the Universe, and Everything"
    val answer = 42
    println("$question: $answer")
}

コンパイラは例えば4242という数字がIntであることから、answerの型もIntであると推測しています。初期化しないこともできますが、そのときには型の宣言が必須です:

fun main() {
    var answer: Int
    answer = 42
}

読み込み専用か再割り当て可能か明示する

ここまで見てもらったように、変数宣言のために変数名の前にvalキーワードを付けました。実は宣言するときに使うキーワードはvalまたはvarのいずれかです。

  • val:読み込み専用。変数の値を一度だけ代入する
  • var:再割り当て可能。変数の値を何度でも再代入する

Tipsとして、基本的にはvalで変数宣言し、必要なときだけvarを使うといいです。この効果については関数型プログラミングの章で詳しく説明します。

val参照が読み込み専用だとしても、オブジェクトはミュータブルな可能性があります。例えば、

fun main() {
    val languages = mutableListOf("Java")
    languages.add("Kotlin")
    println(languages)
}

はOKです。

また、varで変数の再割り当てが可能だとしても、変数の型は固定です。:

fun main() {
    var answer = 42 // Int
    answer = "no answer" // <-- Error: type mismatch
    println(answer)
}

Stringテンプレート

fun main() {
    val input = readln()
    val name = if (input.isNotBlank()) input else "Kotlin"
    println("Hello, $name!")
}

Stringテンプレートとは${...}で囲まれた部分を評価して文字列として埋め込むことができる機能です。とくに変数に対してメソッドを呼び出さない場合には、{}を省略することもできます。もしJavaであれば"Hello, " + name + "!"のようにStringの結合をしないといけないので、Stringテンプレートの方がより簡潔です。

$自体を表示させたければ、エスケープシーケンスを使います:

fun main() {
    // $を入れたければエスケープシーケンスを入れる
    println("\$100")
    // --> $100
}

${...}で囲まれたStringテンプレートは式として評価されます。つまり、if式も使えます:

fun main() {
    // Stringテンプレートとif式の条件分岐を合わせれば、より簡潔に書ける
    val name = readln()
    println("Hello ${if (name.isBlank()) "someone" else name}!")
}

カプセル化のふるまいとデータ:クラスとプロパティ

まずはPOJO (Plain Old Java Object) のPersonクラスを考えておき、今のところnameプロパティのみが含まれているとします。

public class Person {
    private final String name;

    // constructor
    public Person(String name) {
        this.name = name;
    }

    public String getName() {
        return name;
    }
}

コンストラクタのボディは全体的に繰り返しがあり、名前に対応するフィールドにパラメーターを割り当てるだけです。nameフィールドにアクセスするためには、getNameというgetterメソッドを呼び出す必要があり、これもただ、フィールドを返すだけです。

KotlinでPersonクラスを定義しましょう:

class Person(val name: String)

このようにデータだけもっていてコードがないクラスの宣言においては、かなり簡単な宣言をすることができまして、このコンセプトはJava14以上のrecordに似ています。ちなみに、public修飾子はKotlinではデフォルトです。

クラスと関連するデータとアクセス可能にする方法:プロパティ

クラスのアイディアについて、原文が少し難しいので簡単に説明します。原文では

The idea of a class is to encapsulate data and code that works on the data into a single entity. とあります。この文章をを次のように分解します。

  • “The idea of a class is”: 「クラスの考え方は…です」。
  • “encapsulate A into B: 「AをBへカプセル化(一体化)する」です。
    • A: data and code that works on the data
      • code that works on the dataは関係代名詞になっていて、「そのデータを操作するコード」という風に訳されます。
    • B: a single entityは単一エンティティ

よって、「クラスの考え方は、データとそのデータを操作するコードを単一のエンティティへカプセル化する」が直訳になります。

利用者にデータをアクセスさせる必要があるときは*accessor method(アクセサーメソッド)*を提供します。つまりgetterとsetterを提供するということです。

Javaではフィールドとアクセサーをproperty(プロパティ)と呼びます。

Kotlinではプロパティを変数のときと同様にvalおよびvarで宣言できます。 これをKotlinで表現すると

class Person(
    val name: String, // 読み込み専用プロパティ(フィールドや自明なgetter)
    var isStudent: Boolean // 書き込み可能プロパティ(フィールド、getter, setter)
)

です。プロパティを宣言するときは

  • valにはgetter(書き込みできないので読み取りだけ)
  • varにはgetterとsetter(書き込みも読み込みもできないといけない)
class Person(
    val name: String,
    var isStudent: Boolean
)

fun main() {
    val inuverse = Person("Inuverse", true) // コンストラクタを呼び出す
    println("Person name: ${inuverse.name}")
    println("Is the person student?: ${inuverse.isStudent}")

    println("===== ${inuverse.name} graduates as a Ph.D. from XXX university. =====")
    inuverse.isStudent = false

    println("Person name: ${inuverse.name}")
    println("Is the person student?: ${inuverse.isStudent}")

    // inuverse.name = "nukoverse" // Val cannot be reassigned
}

getter methodを呼び出さなくても、プロパティ名で直接参照できるので、Kotlinでは簡素に書けます(JavaではgetNameのようなgetterやsetStudentのようなsetterが必要)。

Tips: JavaでgetterしかないものはKotlinではval、getterとsetterがあるものはvarと宣言する

多くの場合はプロパティは、プロパティの値を保持するbacking field(バッキングフィールド)を持ちます。しかし、その値がその場で計算できる場合(たとえば、他のプロパティから導出できる場合)には、カスタム getter を使ってそれを表現できます。

値を保持する代わりにプロパティを計算する:カスタムアクセサー

プロパティアクセスのカスタム実装を考えます。ここでは長方形を表すRectangleクラスを考えてみましょう。長方形は正方形を含みます。そこで、長方形の高さと幅が等しければ正方形であることをisSquareメソッドで表現することができますが、これは最初にプロパティの高さと幅がわかれば直ちに判明するものです。人間の手でisSquareというプロパティを入れるのではなく、計算して得られるものです。

class Rectangle(val height: Int, val width: Int) {
    val isSquare: Boolean
        get() { // property getter declaration
            return height == width
        }
}


fun main() {
    val rectangle = Rectangle(3, 3)
    println("height: ${rectangle.height}")
    println("width: ${rectangle.width}")
    println("isSquare: ${rectangle.isSquare}") // true
}

ダメな例は次のように、isSquareプロパティを宣言してしまい、プロパティの数を無闇に増やしてしまうことです:

class XRectangle(
    val height: Int,
    val width: Int,
    var isSquare: Boolean
)


fun main() {
    val xrectangle = XRectangle(3, 3, true)
    println("height: ${xrectangle.height}")
    println("width: ${xrectangle.width}")
    println("isSquare: ${xrectangle.isSquare}") // true
}

さて、カスタムアクセサーと普通のメソッド、どちらで対応すればいいのでしょうか?この本によれば、

  • パフォーマンスも実装も違いはない
  • だけれども可読性のみに違いが現れる

一般的に、クラスの性質であればプロパティ、クラスのふるまいであればメソッドとして書きます。

class Matrix(
    val rows: Int,
    val cols: Int,
    val data: DoubleArray
) {
    val isSquare: Boolean
        get() = rows == cols

    operator fun get(i: Int, j: Int): Double {
        return data[i * cols + j]
    }

    fun transpose(): Matrix {
        val newData = DoubleArray(data.size) { i ->
            data[(i % rows) * cols + (i / rows)]
        }
        return Matrix(cols, rows, newData)
    }
}

val matrixData = doubleArrayOf(
    1.0, 2.0, 3.0,
    4.0, 5.0, 6.0,
    7.0, 8.0, 9.0
)
val matrix = Matrix(3, 3, matrixData)

fun main() {
    println("height: ${matrix.rows}")
    println("width: ${matrix.cols}")
    println("isSquare: ${matrix.isSquare}")
    println("matrix[0, 0]: ${matrix[0, 0]}")
    println("transposed matrix is:")
    println("[${matrix.transpose()[0, 0]}, ${matrix.transpose()[0, 1]}, ${matrix.transpose()[0, 2]}]")
    println("[${matrix.transpose()[1, 0]}, ${matrix.transpose()[1, 1]}, ${matrix.transpose()[1, 2]}]")
    println("[${matrix.transpose()[2, 0]}, ${matrix.transpose()[2, 1]}, ${matrix.transpose()[2, 2]}]")
}

この例で具体定に説明します。行列を表すMatrixクラスは、行列の性質である「正方行列かどうか?」はアクセサメソッドで定義し、行列に対する演算(ふるまい)の転置はメソッドとして定義します。operator fun get(i: Int, j: Int): Doubleは、行列の要素を取得するための演算子オーバーロードで、今後詳細に説明するものです。

Kotlinソースコードのレイアウト:ディレクトリとパッケージ

Kotlinは複数のクラスを構成するためにpackageの概念を有します。全てのファイルはpackageのステートメントが必須です。

package geometry.shapes

class Rectangle(val height: Int, val width: Int) {
    val isSquare: Boolean
        get() = height == width

    fun createUnitSquare(): Rectangle {
        return Rectangle(1, 1)
    }
}

fun main() {
    val rectangle = Rectangle(3, 3)
    println("height: ${rectangle.height}")
    println("width: ${rectangle.width}")
    println("isSquare: ${rectangle.isSquare}") // true
    println("createUnitSquare is:")
    println("${rectangle.createUnitSquare()}")
}

他のファイルで定義された宣言も、同じpackageの中にあれば使えます。同じpackageに他のファイルを入れるためには文字通りimportしないといけません。

Kotlinはimportするクラスや関数を特に区別せず、等しくimportキーワードでimportできます。

when expression の対象を変数にcaptureする

whenがexpressionとして使われる場合(つまり、その結果が代入や戻り値として用いられる場合)には、コンパイラはその構文が網羅的であることを強制します。これは、考えうるすべての分岐が値を返さなければならないことを意味します。

その他やdefault値がある場合はelse節で制御すると、when expressionを網羅的にできます。

参考文献

Footnotes

  1. リポジトリ