局所型のバイスペクトルを求める
この記事では局所型(local-type)のバイスペクトル(bispectrum)
Bζ(local)(k1,k2,k3)=56fNL(local)[P(k1)P(k2)+P(k2)P(k3)+P(k3)P(k1)]
を示します。
準備
曲率ゆらぎ
ある点xiにおける曲率ゆらぎζ(xi)を期待値0のガウス分布に従うゆらぎζg(xi)を用いて、2次ののオーダーで表現できているとします。すなわち、
ζ(xi)=ζg(xi)+53fNL(local)ζg(xi)2
とします。
パワースペクトル
曲率ゆらぎζ(xi)のフーリエ成分をζkiとして
⟨ζk1ζk2⟩c=(2π)3Pζ(k1)δ3(k1+k2)
とします。ここでPζ(k)はパワースペクトルです。また、下付き添え字のcはキュムラントを表すことを示すものです。
バイスペクトル
⟨ζk1ζk2ζk3⟩c=(2π)6Bζ(k1,k2,k3)δ3(k1+k2+k3)
とします。ここでBζ(k1,k2,k3)はバイスペクトルです。
その他、暗に使うこと
- ガウス分布のモーメントは奇数次の項が0となること
- ガウス分布のキュムラントは2次までしかなく、3次以上は0になること
方針
バイスペクトルは曲率ゆらぎのキュムラントで表されています。曲率ゆらぎはほぼガウス分布であり、2通りの方法で表現します。すなわち、
- ガウス分布で表現してからキュムラント展開
- キュムラントで表現してからガウス分布で表現
で表現し、これらが等しいという関係を用います。最後にフーリエ変換をすれば求める式が現れます。パワースペクトル、バイスペクトルの定義にデルタ関数が現れるので、計算を進めすぎてデルタ関数を消さないように注意しましょう。デルタ関数をあえて残すことで、比較が容易になります。
計算
ガウス分布で表現してキュムラント展開
まずは曲率ゆらぎの3次のモーメントを、(1)で展開してみます。愚直に計算しましょう。すると、
⟨ζ(x1)ζ(x2)ζ(x3)⟩=⟨(ζg(x1)+53fNL(local)ζg(x1)2)(ζg(x2)+53fNL(local)ζg(x2)2)(ζg(x3)+53fNL(local)ζg(x3)2)⟩=⟨ζg(x1)ζg(x2)ζg(x3)+53fNL(local)(ζg(x1)2ζg(x2)ζg(x3)+ζg(x1)ζg(x2)2ζg(x3)+ζg(x1)ζg(x2)ζg(x3)2)+259(fNL(local))2(ζg(x1)ζg(x2)2ζg(x3)2+perms.)+12527(fNL(local))3(ζg(x1)2ζg(x2)2ζg(x3)2)⟩
となります。ここで、1行目の項は奇数次なので0となり、3行目の項も同様に0となります。また、最後の項はガウス分布のキュムラント展開を考えると⟨ζζ⟩c⟨ζζ⟩c⟨ζζ⟩cという形式で現れます。これはPζ(k)の3乗に比例する項なので、いま考える領域では無視できます。よって、
⟨ζ(x1)ζ(x2)ζ(x3)⟩=53fNL(local)(⟨ζg2(x1)ζg(x2)ζg(x3)⟩+⟨ζg(x1)ζg2(x2)ζg(x3)⟩+⟨ζg(x1)ζg(x2)ζg2(x3)⟩)
次に、残った各項にたいしてキュムラント展開を施します。ガウス分布のキュムラント展開は2次までしかなく、ガウス分布をg(xi)とすると、次のように展開できます。
⟨g(x1)g(x2)g(x3)g(x4)⟩=⟨g(x1)g(x2)⟩c⟨g(x3)g(x4)⟩c+⟨g(x1)g(x3)⟩c⟨g(x2)g(x4)⟩c+⟨g(x1)g(x4)⟩c⟨g(x2)g(x3)⟩c
これを例えば(3)の1項目に適用すると、
⟨ζg2(x1)ζg(x2)ζg(x3)⟩=⟨ζg2(x1)⟩c⟨ζg(x2)ζg(x3)⟩c+2⟨ζg(x1)ζg(x2)⟩c⟨ζg(x1)ζg(x3)⟩c
とできます。(3)の各項に同様の計算を適用すれば、(3)は
⟨ζ(x1)ζ(x2)ζ(x3)⟩=53fNL(local)(⟨ζg2(x1)⟩c⟨ζg(x2)ζg(x3)⟩c+⟨ζg2(x2)⟩c⟨ζg(x3)ζg(x1)⟩c+⟨ζg2(x3)⟩c⟨ζg(x1)ζg(x2)⟩c)+56fNL(local)(⟨ζg(x1)ζg(x2)⟩c⟨ζg(x1)ζg(x3)⟩c+⟨ζg(x2)ζg(x3)⟩c⟨ζg(x2)ζg(x1)⟩c+⟨ζg(x3)ζg(x1)⟩c⟨ζg(x3)ζg(x2)⟩c)
を得ます。
キュムラント展開してガウス分布で表現
逆に、3次の⟨ζ(x1)ζ(x2)ζ(x3)⟩を先にキュムラント展開して、ガウス分布で表現してみましょう。ガウス分布であるという性質は使えないので、素のキュムラント展開をすると、
⟨ζ(x1)ζ(x2)ζ(x3)⟩=⟨ζg(x1)ζg(x2)ζg(x3)⟩c+⟨ζg(x1)⟩c⟨ζg(x2)ζg(x3)⟩c+⟨ζg(x2)⟩c⟨ζg(x3)ζg(x1)⟩c+⟨ζg(x3)⟩c⟨ζg(x1)ζg(x2)⟩c
となります。これをガウス分布で表現すると、偶数次しか残らない条件と、ζの4次までしか取らない条件から
⟨ζ(x1)ζ(x2)ζ(x3)⟩=⟨ζg(x1)ζg(x2)ζg(x3)⟩c+53fNL(local)(⟨ζg2(x1)⟩c⟨ζg(x2)ζg(x3)⟩c+⟨ζg2(x2)⟩c⟨ζg(x3)ζg(x1)⟩c+⟨ζg2(x3)⟩c⟨ζg(x1)ζg(x2)⟩c)
となります。
両者を比較する
先の節で得た最後の式は、(6)式の係数が3/5の項たちに一致します。よって、両者を比較して、3次のキュムラント
⟨ζg(x1)ζg(x2)ζg(x3)⟩c=56fNL(local)(⟨ζg(x1)ζg(x2)⟩c⟨ζg(x1)ζg(x3)⟩c+⟨ζg(x2)ζg(x3)⟩c⟨ζg(x2)ζg(x1)⟩c+⟨ζg(x3)ζg(x1)⟩c⟨ζg(x3)ζg(x2)⟩c)
フーリエ変換する
(9)の左辺をフーリエ変換すると
⟨ζ(x1)ζ(x2)ζ(x3)⟩=∫(2π)9d3k1d3k2d3k3e−i(k1⋅x1+k2⋅x2+k3⋅x3)⟨ζk1ζk2ζk3⟩c
です。積分の中のキュムラントはバイスペクトルの定義から
⟨ζ(x1)ζ(x2)ζ(x3)⟩=∫(2π)6d3k1d3k2d3k3e−i(k1⋅x1+k2⋅x2+k3⋅x3)Bζ(k1,k2,k3)δ3(k1+k2+k3)
と表されます。
一方、(9)の右辺をフーリエ変換しましょう。いきなり積分すると大変なので、まずは
⟨ζg(x1)ζg(x2)⟩c=∫(2π)6d3k1d3k2e−i(k1⋅x1+k2⋅x2)⟨ζk1ζk2⟩c=∫(2π)3d3k1d3k2e−i(k1⋅x1+k2⋅x2)Pζ(k2)δ3(k1+k2)
です。よって、
⟨ζg(x1)ζg(x2)⟩c⟨ζg(x1)ζg(x3)⟩c=∫(2π)6d3k1d3k1′d3k2d3k2e−i((k1+k1′)⋅x1+k2⋅x2+k3⋅x3)Pζ(k2)Pζ(k3)δ3(k1+k2)δ3(k1′+k3)
となります。ここでk1,k1′は積分変数として重複してしまったので文字を変更しました。
変数変換p1=k1+k1′、p2=k2、p3=k3を行い、k1′=p1−k1を消去すると
⟨ζg(x1)ζg(x2)⟩c⟨ζg(x1)ζg(x3)⟩c=∫(2π)3d3p1d3p2d3p3e−i(p1⋅x1+p2⋅x2+p3⋅x3)Pζ(p2)Pζ(p3)δ3(p1+p2+p3)
となりました。同様に他の項も計算すればよく、(9)に再び代入して被積分関数を比較すれば
Bζ(local)(k1,k2,k3)=56fNL(local)[P(k1)P(k2)+P(k2)P(k3)+P(k3)P(k1)]
と、私たちが求めたい式を導出できました。
参考