はじめに
この記事は統計学入門1のを読んだことをまとめた振り返り記事です。
問題
モーメント母関数の展開式から、正規分布、指数分布の尖度を求めよ。
解答
正規分布
モーメント母関数の定義から
MX(t)=∫−∞∞dxextf(x)=2πσ1∫−∞∞dxextexp[−21σ2(x−μ)2]
を計算すればいいだけです。
まずは指数の肩の因子を平方完成しましょう:
−2σ2(x−μ)2+tx=−2σ21[(x−μ)2−2σ2tx]=−2σ21[{x−(μ−σ2t)}2−σ4t2−2μσ2t]
したがって、
MX(t)=2πσ1∫−∞∞dxextexp[−21σ2(x−μ)2]=exp[μt+2σ2t2]⋅2πσ1∫−∞∞dxexp[−21σ2{x−(μ−σ2t)}2]=exp[μt+2σ2t2]
です。最後の行への変換は正規分布の期待値のシフトに対しても全領域の確率分布の積分は変わらないことを利用しています。なので1です。
モーメント母関数をtで微分すると
dtdMX(t)dt2d2MX(t)dt3d3MX(t)dt4d4MX(t)=(μ+σ2t)eμt+(σ2/2)t2=[σ2+(μ+σ2t)2]eμt+(σ2/2)t2=[(μ+σt2)(3σ2+(μ+tσ2)2)]eμt+(σ2/2)t2=[(3σ4+6σ2(μ+tσ2)2+(μ+tσ2)4)]eμt+(σ2/2)t2
を得ることができます。従って、1次から4次のモーメントは上記の微分にt=0を代入して、
E(X)E(X2)E(X3)E(X4)=μ=μ2+σ2=μ3+3μσ2=μ4+6μ2σ2+3σ4
となります。ちなみに分散はV=E[X2]−E[X]2=σ2となります。
歪度 (skewness) Sは
S=σ3E[(X−μ)3]=σ3E[X3]−3μE[X2]+2μ3=σ3μ3+3μσ2−3μ(μ2+σ2)+2μ3=σ3μ3+3μσ2−3μ3−3μσ2+2μ3=0
となります。左右対称なので直感的にも頷けます。
尖度 (kurtosis) Kは
K=σ4E[(X−μ)4]−3=σ4E[X4]−4μE[X3]+6μ2E[X2]−3μ4−3=σ4(μ4+6μ2σ2+3σ4)−4μ(μ3+3μσ2)+6μ2(μ2+σ2)−3μ4−3=σ4μ4+6μ2σ2+3σ4−4μ4−12μ2σ2+6μ4+6μ2σ2−3μ4−3=σ4(1−4+6−3)μ4+(6−12+6)μ2σ2+(3)σ4−3=0
となります。1の記述にもあるように、この−3する理由は、尖度が正規分布の正規化された4次のモーメントを基準にして定義してるからです。正規分布に比べて尖っているのか鈍いのかを表すので、定義から差がなく0になるということは自然ですね。
よって
E[X]V[X]SK=μ=σ2=0=0(1)
となります。
余談
ここまで4次の計算をするためにたくさん微分して、低次の微分をかけたり足したりして計算を進めていきました。このような低次の寄与は初めから除いて、一気に計算できて欲しいです。詳細は省きますが、それを実現するのがキュムラントです。キュムラントをKX(t)=logMX(t)と定義すると、
KX(t)=logMX(t)=μt+2σ2t2
となります。このtの分母の階乗部分を除いた係数がそれぞれ、期待値、分散、歪度、尖度に対応するので、直ちに(1)の答えが求められます。
指数分布
指数分布のモーメント母関数は
MX(t)=∫0∞dxextf(x)=∫0∞dxλe−λxext=λ∫0∞dxe(t−λ)x=λ−tλ
となります。この結果を微分すると
dtdMX(t)dt2d2MX(t)dt3d3MX(t)dt4d4MX(t)=(λ−t)2λ=(λ−t)32λ=(λ−t)46λ=(λ−t)524λ
を得ることができます。これにt=0を代入した結果が1次, 2次, 3次, 4次のモーメントとなるので、
E[X]E[X2]E[X3]E[X4]=λ1=λ22=λ36=λ424
となります。
歪度は
S[X]=σ3E[(X−μ)3]=σ3E[X3]−3μE[X2]+2μ3=(λ1)3λ36−3λ1λ22+2(λ1)3=2
となります。
尖度は
K[X]=σ4E[(X−μ)4]−3=σ4E[X4]−4μE[X3]+6μ2E[X2]−3μ4−3=(λ1)4λ424−4λ1λ36+6(λ1)2λ22−3(λ1)4−3=6
となります。
よって
E[X]V[X]S[X]K[X]=λ1=λ21=2=6
となります。
参考文献
リポジトリ